2005-01-01から1年間の記事一覧

 「海峡の光」 辻仁成

海峡の光 (新潮文庫)作者: 辻仁成出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2000/02/29メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (21件) を見る一度心に闇を飼った人間は、もう二度と闇から完璧に解放されることはないのか。 暗雲たる雨雲が低く垂…

久しぶりに着たジャケットのポケットに手を入れるとき、 指先は敏感に何かを探る。 きみは何が入っていたら、と思う? いいなと思うのはお金。 ありきたりなのは溶けてしまったキャンディー。 あとは、ごみ? 何が入っていたら、と思う? ぼくは掌に転がるき…

今夜の夕食はとろろごはん。 幸せ。

 「蛇を踏む」 川上弘美

とろとろと喉を伝っていく。何かとても異質なものが喉を下っていくのに、とろとろしたものに包まれてすんなりと下りていく。蛇が卵を飲み込む感覚は、こんな感じだろうか。いつまでも喉に張り付いて消えない粘膜の感触は、決して不快なものではない。ただ何…

 「ぼくのパジャマでおやすみ」 山本文緒

あったかくて幸せな記憶。内容はほとんど覚えていないけど、この小説を読めばそんな気分になれる、そう高校生の私は感じていた。いつかまたこの小説を読み返す日が来ることを、どこかで予感していた気がする。山田詠美の「ぼくは勉強ができない」みたいに。 …

今宵の月は

今宵の月はあまりに明るい。明日は満月らしい。空一面の雲が月光に透けて、月夜のドームの下でぼんやりとmoon riverが聞こえる、そんな夜。

上手く喋れないから喋らないようになったのか 喋らないでいたから上手く喋れなくなったのか どちらにしても喋ることは得意ではない 口を閉じて紙に向かってペンを走らせている方がよほど楽だ おそらく書くことは喋ることができない故のはけ口に過ぎない私は…

冷たい心 薄汚れた孤独 黒い涙は まるで雨みたいだ 守れないら それはそれで仕方がないことさ 優しい瞼の 幕が落ちる 答えは要らない 凭れきってしまえ 出口はどこまでも遠く きっと辿り着けない

金曜の夜、0時過ぎに52号線を走り続けた。トンネルを抜けて、峠を越えて、県境をぶっちぎる。けれどなにを越えてもたどり着けない。 もうごまかしつづけることしかできない。

きみがうたう でたらめな歌詞の 愛しい曲春の風が きみのもとまで 届けばいいな

夜は いつまでも 走りつづけていられそうな気がする

どこここどこもかしこ 何処此処何処も彼処也 あれは海の彼方の奴也 丸木舟は彼の持ち物也 狂気の沙汰は凡庸の性 沙汰はオチャラケチャラケタ騒ぎ 騒げ騒げ 性はオチャラケチャラケタ騒ぎ 騒げ騒げ 騒げ騒げ

火事

山が焼けている 赤い赤い せっかく植えた杉の木も 雪を溶かして燃えている バチバチバチッ ゴウゴウゴウ 風が炎を煽ってる 凡庸に陥落するのは 故に凡庸の故に 炎が風を煽っておる

アンブレラ日和

星が降りました 雨のように降りました 凡庸に陥落しながら 透明なアンブレラを揺り篭 たくさんの人が泣きました 洪水のように泣きました 凡庸に陥落しながら 揺らめく旗は赤丸の印 泥ですね 雹ですか?

冷たい夜に

冷たい夜に雨が降っています 私は四足を這いつくばって、 遠いところを彷徨っています 夜が冷たくて、 裏庭の花も枯れてしまいそうなのに、 私のこの手は雨よりも冷たく、 冷たい夜にのっぺりと 寝そべっているだけなのです

「チャーリーとチョコレート工場」 監督 ティム・バートン 主演 ジョニー・デップ

ようこそミラクルファンタスティックワールドへ!工場長はティム・バートン。従業員はジョニー・デップ。彼らにしか作れない、素敵な素敵な世界。あぁなんて説明したらいいんだろう。ウンパ・ルンパ(!!)のダンス&コーラスに、やりすぎ感さえ感じるブラック…

 「ドリアン・ドリアン」  監督フルーツ・チャン

匂い立つのはドリアンのような香港の香り。 鼻をつまみたくなるほど強烈な匂いで、口にすることさえためらうフルーツの王様ドリアン。けれど食するに連れ、その味の虜になっていく。決して忘れられない。匂いは記憶を呼び覚ます。 真っ白な雪に埋もれた北の…

神様

今日もまた海へ向う。今年の夏からサーフィンを始めた。しかし今日はまるで何かの予兆のように、立て続けに悪いことが起きた。 海に着いた途端、ビーサンの鼻緒が切れる。 浅瀬で腕を激しく打つ 車のドアに足の指を挟む 新しく買ったビーサン両足でガムを踏…

I LOVE OKINAWA

夕食にお弁当を買おうとスーパーに入ったら、450円以上のものしかなかった。買えない・・・ 沖縄でお弁当といったら350円スタートなのに。アジアから沖縄に入って日本の物価に必死に抵抗して、結局負け試合を続けたわけだが、そうはいってもやはり沖縄…

 国境の南、太陽の西

村上春樹著 講談社文庫 '95.10.15 感情ではなく形のないある種の感覚を与えるには、ストーリーの出来事ではなく登場人物の感情でもなく、小さな言葉の表現にあるのかもしれない。気にも留めない小さな言葉たちによって、気付かぬうちにある感覚に陥れられて…

夢のはなし

夢の中で、ねむっている自分をみた 世界が閉じたがっている 思春期の頃、貪るように眠ってばかりいるのは、 意識が大人になりたくないと抵抗するかららしい 外界から自分を守るために眠る 明け方、意識の彼方で雨が近付く音を聞いた

ASIA ROAD

小林紀晴著 講談社文庫 初版04.10.15彼らは私の過ぎてきた景色の中に生きていた。彼らは自分を知っていた。 私は今もそれを捉えきれない。 穏やかに晴れ渡った空。 私は自分の部屋のベッドで本を開く。 窓から流れ込んだ風が、私を遠く連れ去る。 同じだ。 …

ASIAN JAPANE

小林紀晴著 情報センター出版局 初版95.5.1多分、どこにも行けない。帰る場所がここである限り。だから、どこかに行けた気になりたくて旅に出たのだと思う。 いつか、帰る当てのない旅に出たい。気の済むまで旅をして、その先に何もないことを知りたい。いや…

祖父の話

「銃剣を水平にしてこうぐっと刺すと、肋骨の間を通って内臓まで届いちゃうんだよ。刺したら水平のを縦にまわしてすぐに抜く。じゃないと筋肉が固まって抜けなくなっちゃうからね。刀は人間の油で錆びちゃうから、刺したら必ず拭くんだよ」 祖父は私に向って…

非常識なことをしたのかもしれません。

知らない人を車に乗せました。夜の11時過ぎ、トンネルの中をとぼとぼと歩いていたから。 私よりも背が低そうで、黒いジャージの男の子。バスも通らない道で、外灯ひとつ無い道で、高校生かなって思ったから。 100メートル通り過ぎて、やっぱりそのままにでき…

 「エターナル★サンシャイン」

身を委ねてしまえば、思い出の波に飲まれてしまう。そんな映画だ。私はもう二度と会えない人に、もう二度と会えないのだろうか。 私の記憶はいくつもの場面をすり抜けて、ひたすら涙が流れた。思い出に浸って泣くなんて馬鹿げてるって、時々思う。もうなにも…

ラジオ

今朝車のエンジンをかけてラジオから最初に流れてきた曲と、午前0時家に帰り着く直前に流れてきた曲が同じだった。うたっている人も曲の名前もわからないけれど。歌いだしがたまらなく胸をすくう、いい声の歌だ。最高潮まで盛り上がるんじゃなくて、その直…

バッティングセンターにて

昨日、生まれて初めてバッティングセンターに行った。バットにボールが当るときの気持ちよさ。それは真っ直ぐ飛んだとか高く飛んだとか、そういう視覚からくるんじゃない。体の筋肉が感じるその衝撃が、快感を呼ぶ。真っ直ぐ高く飛べば、体は予期した正しい…

 「白夜行」 著者・東野圭吾 集英社文庫 初版・'02.5.25

(あらすじ 抜粋) 1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂 …暗い目をした少年と並外れて美しい少女は、その後全く別の人生を歩んで行く…

海。

今日もまた、海を見に行きました。 春のいちご海岸通り。 今日の海は、本当に空の色を映したようにきれいな青だ。 遠くまで白波が続いて、今にも鯨が跳ねそうな小笠原の海を思い出した。 鯨のダンスを想像するだけで、とっても幸せな気持ちになれる。 遠くで…