野島伸司 詩集Ⅲ

卒業証書
いったいいつになったらこの僕は
卒業証書がもらえるのか
皆勤賞で通ってるし
ネムリだってしちゃいないのに
もう何十年も留年なんだ
校長先生の言うことにゃ
僕はいらないものばかり集めてて
肝心なものがないらしい
トントントン僕はふりしぼってノックする
肝心なものとは何でしょう
いげん保った校長先生が言いました
それはあきらめってものです
野島伸司(「詩集Ⅲ」より)


大人になるためには、きっと諦めと嘘を、上手に使えるようにならなきゃならない。いつかの私の中には、悲しみと諦念が動かない錘のように存在していた。
今の私はわがままで、諦めを放り投げて無邪気に求めたりする。人を傷つけずにはいられない子供に戻ってしまった。
大人にならなきゃならない。諦めを一つ手にする度、体が少しずつ重くなるような、何かに引き止められてうまく飛べなくなるような、そんな気がする。それでも人は大人にならなきゃならない。
卒業証書なんかいらないよって言って、そんな縛りから逃げ出したい。けれど、やっぱり人は大人にならなきゃならないらしい。