歩くアジア  下川裕治

やばいやばい。それは突然やってくる。その名は「どっか行きたい病」。
前回の旅から1年が過ぎ、7月からの小笠原ヘルパー生活に期待高まる今日この頃。それは突然やってきたのである。
「韓国に行きたい!」
それは「歩くアジア」の第一章を読み終わった途端の衝動だった。仕事の昼休憩に読んでいたのだが、休憩が終わり自分の席に着くと急に胸がドキドキしてきた。
インドにモロッコにトルコにラオスチベットカシュガルチェンマイ・上海。行ってみたい国や場所を挙げたらきりがない。
「でもやっぱ隣国は行っとかなきゃな」
今まで韓国に行きたいと思ったことはほとんどなかったくせに、本の影響を受けて突然猛烈に行きたくなってしまったのである。しかも1ヶ月くらいかけて韓国を網羅したいと思った。半年か1年以上の無期限の旅に憧れていた。でも1ヶ月ずつかけて1つの国を深く知るのもおもしろそうである。
その手始めに韓国をと思ったのだ。タイやベトナムや回りやすそうな国は他にもあるけれど、韓国だったら1ヶ月あれば余裕で回れるような気がした。それにまだ行ったことがない不安や期待が、またドキドキに変わる。
このドキドキがいつも自分を旅へと突き動かすのだと思う。胸がドキドキし出したら、
「今ならどこへでも行ける!」
と、唐突に思えてしまうのだ。そうやって「どっか行きたい病」が発病する頃には、何故かちょうどよく資金も貯まっていて、いつもそうやって旅に出ていた。
しかし今回は小笠原が待っているし、旅立てはしない。とりあえずは小笠原から帰ってきてからの問題である。
にしてもこの「どっか行きたい病」、有名な「八重山病」と並ぶ難病である。
きっと一生完治はしないだろうな。なんて、気楽に言ってみたりして。
とりあえず「」はまだ第一章が終わったばかりである。これからイスタンブールまで行くらしいから、まだまだ誘惑が溢れているだろう。やばいやばい。体の奥がウズウズしてくる。

歩くアジア (双葉文庫)

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