アルケミスト 夢を旅した少年   パウロ・コエーリョ

アルケミスト 夢を旅した少年 (角川文庫)

アルケミスト 夢を旅した少年 (角川文庫)



ずっと読みたかった本です。
本屋で見かけたので、「今がタイミングだ」と手に取り購入、即読みました。



 「安定」というものは、きっといつでも手にすることができる。それは私がまだ「安定」の「尊さ」を知らないから言えることなのかも知れない。ある時突然自分以外の何らかの力で、今ある当然の「安定」を奪われたなら、私は「安定」の「尊さ」に気付き、再度「安定」を求めるのだろうか。
 しかし、私はまだ「安定」の「尊さ」を知らない。だから「安定」を望んだりすることは、できない。



 心の声を聞くことを忘れてはいけない。自分の心と対話し、その声に従いなさい。
 すれば世界は与えてくれる。進むべき道を教え、導いてくれる。



 今までに手に入れた目に見える財産を「夢」のためにすべて失って一文無しになり、またこつこつと年月をかけ財産を築いたとする。それを元手にあなたは「安定」を手にすることもできるし、また「夢」にかけることもできる。
 しかしアルケミスト(錬金術師)は言う、「安定」の先にてあなたは「夢」を忘れることはできない、そしてそのことが新たな「苦しみ」を生み出し続け、人生の最後にあなたが手にするのは「諦め」である、と。


 「夢」を追い続けることは、時に苦しく、辛く、寂しい。しかしそのどれもが本当は、心を縛るためにあるものではない。「安定」を求めるが故の苦しさ・辛さ・寂しさの先にあるものが「諦め」であるのに対し、「夢」を求めるが故に伴う苦しみ・辛さ・寂しさの先にあるものは「光」であり、夢を手にした豊かな喜びであると思う。




 賢者は言った。
 『幸福の秘密とは、世界のすべてのすばらしさを味わい、しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ』
 と。


 スプーンの油。私にとっておそらくそれは、「家族」であり「こども」であると思う。


 「夢」を求め続ける途中で、私は何度も全財産を失うかもしれない。ボロボロに傷つくかもしれない。しかし心の声に耳を澄まし、その声に従い、世界が与えてくれる前兆を信じ、「スプーンの油」のことを忘れずにいつづければ、きっとたどり着けるだろう。(最後までたどり着けなくても、その過程に居続けられれば、私は幸せだけれど)






 「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」







 心の望むように、旅に出よう。