「人間の土地」 サン=テグジュペリ


 空を飛ぶという行為が、今よりも遥かに危険で非日常的な時代。
 空の開拓時代。


 サン=テグジュペリが見た空と、空から見た地上、そして砂漠。
 確かにもう二度と、
 現代の私たちには彼が見た世界を見ることはできないだろう。
 死と背中合わせに見た世界を。


 彼は自らの経験を通し、「人間」というものについて考察する。
 真実というものは、
 幾枚もの皮で囲われていて、
 どこまで剥いても、
 どこからが真実なのかわからない。


 後戻りができない道を、
 限りなく死に向かい歩いていたのに、
 その先に待ち構えていたものは、
 必ずしも死ではなく、
 その正反対のものに辿り着いたりする。


 

人間の土地 (新潮文庫)

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