心に刻む言葉。

私はいくつかの言葉を、心に刻んで生きている。
今日はそのひとつについて喋ろうと思う。

中島みゆきパラダイス・カフェというアルバムに「永遠の嘘をついてくれ」という歌が収録されている。
シングル化されているのかは知らない。
その歌詞の中のワンフレーズ。

 たとえくり返し何故と尋ねても 振り払え風のようにあざやかに
 人はみな 望む答えだけを聞けるまで尋ね続けてしまうものだから

けれどあざやかに振り払えるほど私は強くないから、卑怯なやり方で、はじめから、何故と尋ねられることから逃げている。
否定されることがこわいから、否定されそうなことは口にしない。
認められないと不安になる。
この歌のさびは

 君よ永遠の嘘をついてくれ いつまでもたねあかしをしないでくれ
 永遠の嘘をついてくれ 出会わなければよかった人などないと笑ってくれ

である。
人は弱さを内包し、強がりの皮をさらして生きている。
私は今せめて、強がりの皮を被りたい。

いくつもの言葉を心に刻んで、痛い部分を繕うように使い古す。
この言葉に出会ったのは、もう9年前になる。
その時からずっと私の心にある。
言葉は消えない。音と共に。